初めての育児、こんな悩みを抱えていませんか? 「授乳の時間になっても、赤ちゃんがぐっすり寝ていて起きない」 「無理やり起こすのは可哀想で気が引ける……」 「どこまで寝かせておいて大丈夫なの?」
生まれたばかりの赤ちゃん(新生児)は、1日のほとんどを寝て過ごしますが、栄養補給や生活リズムのためには「起こす」ことが必要な場面もあります。しかし、いざ起こそうとしても、驚くほど深く眠っていて反応がないことも珍しくありません。
この記事では、新生児の睡眠の特徴から、赤ちゃんに負担をかけない安全な起こし方、季節ごとの注意点までを網羅的に解説します。どうしても起きない時の裏ワザや判断基準も紹介しますので、ぜひブックマークして焦らず実践してみてください。
新生児の睡眠の特徴とは?月齢別の平均睡眠時間
まずは、なぜ新生児がこれほどまでに起きないのか、その背景にある睡眠の特徴を理解しておきましょう。これを知るだけで、「起きない=異常」という不安が和らぎます。
生後0ヶ月〜1ヶ月の睡眠サイクル
新生児期の赤ちゃんは、1日に合計16時間〜20時間ほど眠ります。 大人のように「朝起きて夜寝る」というリズムはまだなく、1回の睡眠は2〜3時間程度の短いサイクルを昼夜関係なく繰り返します。
また、赤ちゃんの睡眠には「レム睡眠(浅い眠り)」と「ノンレム睡眠(深い眠り)」がありますが、新生児はこの切り替えが未熟です。一度深い眠りに入ると、ちょっとした物音や刺激では起きないことが多々あります。これは脳の発達に必要な休息であり、成長の証でもあります。
起こすべきタイミングの判断基準
「寝る子は育つ」と言いますが、以下の場合は積極的に起こしてあげる必要があります。
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前回の授乳から4時間以上空いている場合
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新生児は胃が小さく、一度にたくさんの母乳やミルクを飲めません。間隔が空きすぎると、低血糖や脱水を起こすリスクがあります。
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体重の増えが悪いと指摘されている場合
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頻回授乳が必要なため、3時間おきを目安に起こしましょう。
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昼夜逆転を直したい場合
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日中に長く寝すぎている場合は、生活リズムを整えるために適度に起こして刺激を与えます。
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【実践編】新生児の起こし方完全マニュアル:基本から裏ワザまで
それでは、具体的な起こし方を解説します。まずは赤ちゃんへの負担が少ない優しい方法から試し、それでもダメなら徐々に刺激を強める「段階的なアプローチ」がおすすめです。
ステップ1:声かけとスキンシップ(優しく)
いきなり揺すったり大きな音を出したりするのはNGです。
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おくるみやブランケットを外す
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包まれている安心感から開放し、少し涼しい空気に触れさせるだけで目が覚めることがあります。
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名前を呼びながら体に触れる
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「○○ちゃん、おっぱいだよ〜」と優しく声をかけながら、手足をさすります。
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部屋を明るくする
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カーテンを開けたり照明をつけたりして、光の刺激で覚醒を促します。
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ステップ2:オムツ替え(中レベルの刺激)
多くの先輩ママが実践する**最も効果的な方法が「オムツ替え」**です。 お尻がスッキリする感覚と、足を動かされる刺激、そして拭かれる時のヒヤッとする感覚で、多くの赤ちゃんが目を覚まします。授乳前にオムツを替える習慣をつけると、「オムツ替え=起きる時間」というリズムも作りやすくなります。
ステップ3:どうしても起きない時の「裏ワザ」(強めの刺激)
上記を試しても爆睡している場合に使えるテクニックです。
足の裏への刺激
赤ちゃんの足の裏には感覚神経が集中しています。
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足の裏を指で「の」の字を書くように押す。
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足の指を一本ずつ軽くニギニギする。
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軽くデコピンをするように弾く(痛みを与えない程度に)。
濡れガーゼ作戦
水またはぬるま湯で濡らしたガーゼハンカチを用意し、赤ちゃんの口元やほっぺたを優しく拭きます。ひんやりとした感触に反応して、口を動かし始めることがあります(吸啜反射を誘発します)。
抱き上げて背中スイッチを活用
一度抱っこをして縦抱きにし、背中をトントンしてゲップをさせるような体勢をとります。体勢が変わることで平衡感覚が刺激され、目が覚めやすくなります。
シチュエーション別:こんな時はどう起こす?
日常の中で迷いやすいシチュエーションごとの対応法をまとめました。
授乳の時間なのに爆睡している時
前述の通り、4時間を超える場合は起こして授乳しましょう。 ただし、体重が順調に増えていて(1日30g増など)、医師や助産師から「夜は寝かせておいてOK」と言われている場合は、無理に起こさず赤ちゃんが自然に起きるのを待っても構いません。赤ちゃんの成長度合いによって対応を変えるのが正解です。
退院時や健診で出かける時
外出の予定がある場合は、出発の30分前から準備を始めましょう。 急に起こしてすぐにチャイルドシートやベビーカーに乗せると、不機嫌になって大泣きする可能性があります。早めに部屋を明るくし、オムツ替えや授乳を済ませて、機嫌の良い状態で出発できるように逆算して起こします。
来客時に合わせるべき?
祖父母や友人が来るからといって、無理に起こす必要はありません。 新生児にとって、見知らぬ人の声や匂いはそれだけで強い刺激(ストレス)になります。寝ているなら「今はネンネの時間なので、寝顔を見てあげてね」と伝え、赤ちゃんのペースを最優先に守ってあげてください。
季節ごとの注意点:夏と冬で変えるべき起こし方の環境設定
新生児は体温調節機能が未熟です。季節によって起こし方の環境にも配慮が必要です。
夏:脱水予防のための水分補給
夏場は寝ているだけでも汗をかき、水分が失われます。「よく寝ているから」と放置すると、気がつかないうちに脱水症状になり、ぐったりして起きられなくなっている可能性もゼロではありません。
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室温は26〜28度をキープする。
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夏場は通常より少し早め(3時間毎)に起こし、母乳やミルクで水分補給を行う意識を持ちましょう。
冬:寒さ対策と布団からの出し方
冬場、暖かい布団から急に寒い部屋に出されると、赤ちゃんも不快で泣き出してしまいます。
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起こす15分〜30分前に暖房を入れ、室温を20〜23度程度に上げておく。
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おくるみを剥ぐ前に、服の上から摩擦で体をさすって温めてから起こす。 このような工夫で、冬の授乳タイムもスムーズになります。
便利グッズ紹介:起きない赤ちゃんに効果的なアイテム
どうしても起きない、授乳中にすぐ寝てしまう子には、以下のようなアイテムが役立つことがあります。
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授乳クッション(高さがあるもの)
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授乳姿勢が辛いと赤ちゃんも飲みにくく寝てしまいます。高さのあるクッションで正しい姿勢を保つことで、しっかり飲んでくれることがあります。
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温度湿度計
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「暑すぎてダレている」「寒すぎて動かない」を防ぐため、ベビーベッドの近くに設置して適温を管理しましょう。
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起こし方に関するQ&A(助産師・先輩ママの視点)
Q1. 無理やり起こすのは可哀想で……本当に起こしていいの?
A. 赤ちゃんの健康を守るためですので、自信を持って起こしてください。 新生児期は、空腹を訴えて泣くエネルギーさえなく眠り続けてしまうことがあります。栄養不足や脱水を防ぐための「親の愛ある行動」と考えて、割り切って起こしましょう。
Q2. 起こしてもギャン泣きしてミルクを飲みません。
A. 一度落ち着かせてから再トライしましょう。 眠いのに起こされて不機嫌になっている状態です。無理に哺乳瓶を口に入れず、一度抱っこで落ち着かせたり、部屋を少し薄暗くしたりしてクールダウンさせます。完全に覚醒していなくても、ウトウトした状態で飲むこともあります。
Q3. 5時間以上寝てしまいました!どうすればいい?
A. 焦らなくて大丈夫。まずは赤ちゃんの様子を確認して。 顔色が良く、おしっこが出ていれば、すぐに授乳すれば問題ありません。ただし、唇が乾いている、おしっこが半日出ていない、お泉門(頭のペコペコした部分)が凹んでいる場合は脱水のサインの可能性があるため、授乳後にかかりつけ医に相談してください。
まとめ:赤ちゃんのペースを大切に、焦らず向き合おう
新生児が起きないことは、多くのママ・パパが直面する「最初の壁」の一つです。 本記事で紹介した内容を振り返ります。
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新生児の睡眠は深くて短い。起きないのは脳の発達中である証拠。
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授乳間隔が4時間空くなら、脱水予防のために起こす必要がある。
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起こし方は「声かけ→オムツ替え→足裏刺激」の順で段階的に。
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季節に応じた室温管理で、スムーズな目覚めをサポートする。
毎日必死に育児をしていると「マニュアル通りにいかない!」と焦ることもありますが、赤ちゃんにも個性があります。よく寝る子、すぐ起きる子、それぞれのペースがあります。 あまり神経質になりすぎず、「体重が増えていて元気ならOK」という大きな気持ちで、今の時期だけの寝顔を見守ってあげてくださいね。